ナビゲーター: | 「では今回の絵はこれ。まずはよく見てみましょう。」 |
生徒A: | 「昔の絵みたい。」 |
生徒B: | 「むっちゃムキムキや。」 |
ナビゲーター: | 「まずはよく見る。パッと目に入ったところから隅々まで、みる。」 「では、見つけたこと、気づいたこと、考えたこと、疑問でも何でも良いです。みんなで話していきましょう。話したいときは手を挙げていきましょう。」 |
生徒C: | 「なんか、このへんな動物の髪の毛がもじゃもじゃしている」 |
ナビゲーター: | 「もじゃもじゃしている。変な動物というのはどれのことかな。これ?」 |
生徒C: | 「隣のやつ」 |
ナビゲーター: | 「髪がもじゃもじゃした変な動物というのは、こっちのことなんだね。『変な』というのはどこからそう思ったの?」 |
生徒C: | 「チーターでもトラでもライオンでもない。」 |
ナビゲーター: | 「この姿形がCくんの知っている動物じゃないな、だから変だな、と思ったんだね。」 |
生徒C: | 「うん。」 |
ナビゲーター: | 「なるほど。他にどうでしょう。」 |
生徒D: | 「全部が金色の世界にいる。」 |
ナビゲーター: | 「金色の世界にいる。色のことを言ってくれたね。」 「みんな、『変な生き物』についてはどう思う?」 |
生徒D: | 「変な生き物みたいなのは親子で・・・」 |
ナビゲーター: | 「この2頭が親子で・・・」 |
生徒D: | 「金色の何かを見ながら、向こうに行っている。」 |
ナビゲーター: | 「こっち側?」 |
生徒D: | 「うん。」 |
ナビゲーター: | 「なるほど。この2頭が親子だって言ってくれたけど、どこからそう思ったかな?」 |
生徒D: | 「お話してるみたいだし、仲良しみたいだから。」 |
ナビゲーター: | 「お話してるみたい。どういうところからそう思ったの?」 |
生徒D: | 「お互いが目と目をみてる。」 |
ナビゲーター: | 「あ、ここか。目と目が合ってる。」 |
生徒E: | 「みてないよ。茶色(の獅子)はみてない。白はみようとしてる。」 |
ナビゲーター: | 「へぇ!Dさんからは『目と目が合っている』という意見があって、Eさんからは『白い方はみているけど、茶色の方はみていないんじゃないかな』という意見がありました。」 |
生徒F: | 「確かに!」 |
ナビゲーター: | 「Eさんはお友達の言うことをよく聴いていたんだね。聴いたことについて、自分でちゃんとみていたね。」 |
出典:教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方(鈴木有紀 (著))