「受験」と「対話」のお話 ~対話は日本の受験生を救えるのか!?~

本日は、「受験」という子どもたちにストレスがかかる人生最大級の経験について、対話という視点からお話していきたいと思います。

私自身が対話によって受験を乗り越え、救われた経験をもとに紹介していきます。

学校の先生方だけでなく、塾関係者や保護者の皆さんにもぜひ参考にしてもらいたい記事となっています!

1.受験期の子どもの言葉にならないSOS


受験は日本に生活する限り、人生の進路を決定していく重要なイベントの1つです。

人生の未来が決定されていく重大なイベントですから、当然多くの子どもたちはプレッシャーと戦うことになります。

特に日本の場合は、偏差値と呼ばれる数字で子どもたちの学力が評価されることになり、必然的に順位も意識し始めるので、

もしも思い通りの結果にならなかった場合には「自分が否定された」という感情も抱きかねません。

だからこそ、受験期は感情の振れ幅が高くなります。

ちょっとしたことで、不安になったり、夜眠れなかったり、友達との関係がうまくいかなくなったりと、

日常生活と健康にも大きな支障をきたすことがあります。

特に、このような心身ともに不安定な状態に陥ると、
心身の疲れが取れない→勉強がはかどらない→受験当日に良いパフォーマンスを発揮できないという悪循環にはまってしまいます。

これは、子どもたち本人もそうですが見守っている周りの人もつらいですよね。

しかし、子どもたちはSOSを言葉に出すことが難しくなります。理由は単純明快です。

受験という目の前のイベント以外に目を向けることが難しくなるからです。
周りを見ている暇があったら、自分に集中したい!という意識の表れだと思います。

また、大人はこの「自分自身に集中させる空間」をよくも悪くも作り出して、子どもたちを孤独にあえて置いておくようなことをしてしまう傾向があります。本当は、言うべきことが溜まっているのに…。

これでは、周りの人に相談することも、子どもたちと話すこと自体もより難しくなってしまうに違いありません。

このようなことを、未然に防いでもらいたい。そして、心身ともに健康で、自分だけでなく周りのことも考えられる心の余裕を持った受験生活を子どもたちに体験させてあげて欲しいです。

2.受験生は何を対話したいのか?



さて、対話を受験生にすると言っても実際には何を話せばよいのでしょうか?

勉強の進捗?くらいしか聞くことないと思っていませんか?

子どもたちとの対話では、勉強そのものに関する話題を出さないでもらいたいです。

これは、あなたが成功するかわからない手術を受ける前に、手術の話を永遠にされることと同じです。


子どもたちは、心の中で受験というプレッシャーから本当は逃げたいのです。
できれば、こんなにストレスのかかる経験は誰でもしたくないはずです。

だから、子どもたちの向いている意識の方向を受験の外に出せる話題について対話をしてもらいたいです。

例えば、「趣味」や「話題のニュース」、「好きなテレビ番組」などなんでも構いません。
ここで大事なのは、受験という話題から目を意図的にそらさせることにあるのです。そして、子どもたちが自分から言葉を発して、笑ってもらうことに意味があるからです。

受験生が1番表に出さない行動は、「笑う」ことだと思います。
だって、心の余裕がないのだから、笑う余裕だってありゃしません。それに、娯楽などを意図的に敬遠することもありえると思います。

でも、皆さん。1人で笑えますか?(もちろん、お笑い動画など観ている場合を除く)
ほとんど不可能ですよね。話をする相手がいなければ、笑う機会だって当然減っていくのです。

笑う門には福来るということわざがありますが、これは心理学的にもポジティブな心持ちになるといわれています。だから、笑った顔を見ることができれば、対話は成功したといえると思います。

もしも、話しかけてみても笑ってくれなかったり、相手の好きな話題をふっているのにも関わらず、良い顔をして話してくれないようなら、そっと聞いてあげてください

「顔がさえないね…。最近、何かあった?」と。

子どもたちは、これを聞いてくれるのを待っています。

そうすることで、不思議と子どもたちは自分の置かれている状況を話し始めるでしょう。
それは、詳細に話してくれるわけではないかもしれませんが、心の中の状態を言葉に載せて、外の世界に出せたことに意味があるのです。そして、少しでも悩みの種の情報を引き出してあげることで、周りの人と連携をとることにつながるのです。

そして、「どこからそう思うの?」とも聞いてあげてみてください。
ここでは、対話型鑑賞の話ではなく癒しを与える対話の話をしているので、根拠が主観的な感情でも全く問題ありません。
私の経験では、こう聞くことによって涙を流し始める子や家庭や学校での悩みを話してくれる同級生がたくさんいた記憶があります。

「どこからそう思うの?」や「なぜそう思うの?」という質問までたどり着くことができれば、後は子どもたちの話を聴いてあげるだけです。
何回も繰り返し強調して書いてきましたが、「聴くこと」で子どもたちとの対話は始まります。

最後に、時間をかけること。対話を始めるタイミングにも注意してください。

私のおすすめは、放課後です。授業がすべて終わり、勉強から解放されているその時間を使うことでより効果的に落ち着いた対話ができると思います。
また、時間的な制約がない時にお願いしたいです。
対話が途中で中断されることは、「もどかしさ」や「もっと聴いて欲しかった」というストレスにつながりかねないので十分に注意してください。

3.子どもたち同士で互いを支え合う環境を



私は、できれば対話は子どもたち同士でできるようになることが望ましいと思っています。
その理由は、感情を表現できる気軽さのためです。

まずは、感情を表現できる気軽さとはどうゆうことか?
それは、「信頼関係」が対話においては大事だからです。

自分のことを相手に話しても良いと思わなければ、正直な感情は引き出すことができません。
学校生活の中で一番多く時間を共に過ごすのは、先生ではなくて子どもたち同士です。
先生の知らない情報を豊富に持っているのは、子どもたちのほうです。
だから、よりお互いをはじめから理解し合っている子どもたち同士での対話が有効になっています。


また、正直な感情に多いのが「他者に対する愚痴」。これが、先生に向けられていることもしばしばあります。
そのため、あまり先生自身に聞いてもらいたくはないのです。
悪口を聞いているほうも、悪口を本人に言うほうも気分が悪いですよね。
言葉に出せなければ正直な感情で対話をすることができません。

もう一度、強調するようにここでの対話は論理的な思考力をつけさせるための、教育的対話の実践ではありません。
心の中身を引き出すための、感情に基づいた経験を語ってもらうための対話です。
だからこそ、大人を相手にするよりも自由に言葉を発せる相手のほうが良いと考えたのです。

そのため、難しい方法はありません。むしろ、聴くことに集中していればOK。
子どもたちでもできます。

常に日ごろから、ホームルームなどで相手の話を聴くことに集中するように促していただければ、誰でも意識ができると思います。
私自身は、学校にいたときは、ストレスにどう対処するかのアドバイスを聞かされるより、他者とどう関わるかという話を聞いていたほうがピンと来たので、ここに書いています。

4.まとめ

人間は、一人きり泣けても、一人きりで笑うことはできません。

受験というプレッシャーによって以前よりも笑顔を見せる頻度が落ちたと感じたら、対話の始まりです。

ここでの対話は、決して物事に対して根拠をつけて話す練習ではなく、相手の正直な心の感情を引き出すことにあります。
その際に、「どこからそう思うの?」という感情に対する主観的な感情や根拠を言葉に載せて、心の外に出す質問を使ってみてください。
きっと、効果があると思います。

なぜならば、子どもたちは「聴いて欲しいから」。本当は、聞いてもらうことを待っているからです。

子どもたちに受験と子どもたち自身に対して本気で向き合わせることは大事ですが、孤独感という副作用もあることをお忘れなく。
その副作用を、より受験に前向きで落ち着いて向き合っていけるようになる薬が「対話」だと信じています。

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