日本の対話教育を実践するには? ~海外留学の体験から対話教育を考える~

今回は、「海外と日本の対話教育の可能性」についてのお話をしていこうと思います。

日本の教育を語るときに、よく「海外の教育では○○」と言われます。が、最初に言っておきます。
日本と海外の教育は比べられるものではありません。
そもそも、異なる文化的背景や社会状況によって教育が左右されることは認識しておかなければなりませんし、私も教育に対して良い悪いと価値判断をしたくはありません。

日本の良い側面を活かしながら、もっと良い教育を創っていけばよいと思っています。

ですが、海の向こうでは対話がどのような教育が行われて、先生は対話をどう使っているのか?と気になる方も多いはず。

そこで、今回は私の高校の時の、留学体験と共に海外の対話教育の事例を紹介した後に、私が日本の先生に期待していることを経験をもとに書いていきたいと思います。

1.ニュージランドの対話教育

私が海外留学をしていたのはどこか?答えは、ニュージーランド(NZ)です。

羊が人口よりも多い国として有名ですね。(これ、本当です。郊外に出れば羊、羊、羊…)
また、ラグビーワールドカップでNZ代表「オールブラックス」などが有名ですね。(ラグビーは本当に人気)自然が美しく豊かな、日本の真南にある島国です。

ここで私は、約8か月近くの時間を現地の学校と家庭で過ごしました。
授業も日常会話も、もちろん全部English(笑)最初は、苦労したな…..。

私の印象では、NZという国は文化的にも対話を大事にしている印象が強いです。

例えば、家庭での対話。
家族そろって、毎日夕ご飯を食べます。そこの食卓での会話は、「what」や「why」という単語が連発して出てきました。対話型鑑賞の核でもある、「どこからそう思うの?」に近い言葉ですね。

英語の文法的な構造からか、必ず「because」という「なぜならば~」に匹敵する単語を使って、理由を説明していきます。

私が個人的に一番答えるのが、難しかったのは
「What did you learn today? (今日は、何を学んだの?)」という質問から続く、

「Why do you think so?(なんで、そう思うの?思ったの?)」という質問でした。

後でも、述べますが理由をつけて普段から会話する癖が、日本語ではなかなかついてなかったんですよね。だから、理由を考えながら説明する訓練をみっちりと受けてきました。

また、なんで答えるのが難しい質問が連発されるのに、ずっと続けられたかというと「聴いてくれた」からなんですよね。前回の記事にも書いた通り、聴いてくれることが何よりも嬉しかった。黙って、自分がつたない英語で言い終わるのをずっと、待っててくれました。こういった、対話の環境が家庭にあることで、現地の子どもたちは「人との対話」を実践的に学んでいくのですね。

次は、学校の実践例に移りましょうか。

私が何よりもビックリしたのは、「体育」に対話が取り入れられていたこと。
もちろん、日本の体育とは違っていろいろなスポーツや遊びを通して、身体だけでなく心や人との対人関係能力も鍛え上げます。キャンプに行くときや、山登りをするとき、サイクリングに出かけるとき…、すべてに必ず仲間と話し合いをして、どうしたら課題を達成できるかを話し合います。これに、授業時間の半分を割くときがあるのだから、なおさら驚きです。

NZの教育や家庭がなぜ対話を重要視するのか?
その理由は、「多民族国家」であることが背景にあります。

人口が500万に届かない小さな国は、たくさんの移民の方と先住民族であるマオリの方々で構成されています。私が住んでいた首都のウェリントンは特に、多文化、多民族でした。バスに乗れば、最低3つは違う国籍、民族、宗教を持つ人が乗っています。

そんな国で、必要とされるのは「人種や文化を越えた対話」。様々な人生背景を持つ人々が暮らす社会の中で、違いを受け入れる力の育成は不可欠です。
互いが協力し合って、1つの国を創っていくことが求められる国だからこそ対話が重要なのですね。
まさに、それはラグビーのようなチームプレーが求められますね。

2.アクティブラーニング。大丈夫?

さあ、次はいよいよ日本のお話をしていきます。

アクティブラーニング大事!と、口癖のように文部科学省が言っておりますが…。
学校の先生方大丈夫でしょうか?

「グループディスカッションを促進!?」
「そんなの、急にできないよー。」

という声を沢山現場の教員の方々から聞いてきました。

もちろん、先生たちも困っているけど、それは子どもたちも同じです。

なぜならば、教わっていないからです。グループディスカッションの方法を。

私の記憶では、ちゃんと教わったことありません。
これでは、子どもたちもどう授業に臨めばよいかわかりませんよね。

子どもたちと先生が困ってしまう教育現場…。
これを解決するのが「対話型鑑賞」となるかもしれません、言うまでもなく。

「いやー、対話型鑑賞がどんなもので何を大事にしているかはわかりますよ。でも、どうやって使ったらよいのでしょうか…?」と頭を悩ませている先生方。

ここから先は、元生徒であった私がアイディアをいくつか出させていただきます。
参考になれば幸いです。

3.こんな場面で使えるかも!対話教育を充実させるアイデア

ここからは、私の考えたアイデアです。
生徒的な視点が入っているので、より生徒のニーズをくみ取れるかもしれませんね。

1.道徳教育の答えのない問いを探す時間に

私自身、道徳はすごく対話力を伸ばせる授業だと思います。
なぜならば、物事の善悪や感情判断などの主観的な意見を述べる時に、根拠を添えられるようになるからです。自分の感覚を人に伝えるのって、本当に子どもたちにとっては難しい。
誰にでも伝わるように、意見を述べる練習を道徳ではできると思っています。

その時には、是非とも子どもたち自身の経験を語らせてあげてください。子どもたちの間で1人1人の個性を認識する良い機会になると思います。人の人生は十人十色。たとえ、小学校に上がりたての子どもたちでさえも、全く異なった環境、場所、時間で育ってきたはずです。そういった、個性を対話で発揮できることは、子どもたちにとっても嬉しことだし、やっぱり「聴いて欲しい」(笑)と思っています。


また、これは先生方にとって子どもたちを理解するのにとても助けになると思うのです。道徳が正式に
教科化されて、子どもたち一人ひとりの授業に対する取り組みの姿勢を記述式で評価することになりました。何を書いて良いのかわからない、といったことがきっとなくなると思います。先生としても似たり寄ったりのことを書いて、子どもたちをひとまとまりにくくりたくないですよね。

2.数学や算数の時間で教え合い

先生が難しい問題やまだ習っていない問題を出して、グループに分けて話し合いをさせるということがよくあると思います。でも、時には答えが全く探せなかったり、難し過ぎて思考を停止する子も出てきてしまう。できる子を頼ってしまって全く話し合いにならない。なんてことはありますよね。

私自身も、算数と数学は大嫌い(いまだに)でした。それは、答えにたどり着けないとイライラしてしまうから。かと言って、日常で使うこともないからわかるようになりたい!と思うことはありませんでした。だから、提案させてほしいのです。

誰でも、わかる問題を教え合うスタイルがいいと思います。解ける問題なら、どうやって解いていいかという方法を知っているので説明がしやすくなります。また、みんな問題の解き方を知っているので、互いに意思疎通ができるのです。そんな条件の下で、教え合いを試してみてほしいと思っていたりします。知っている知識をもとに、みんなに伝わりやすいと安心して対話ができる環境をつくることができると思います。教え合った後に、フィードバックを子どもたち同士でやってみることで、さらに言語運用能力や相手の意見を受け止める力が育まれるのではないでしょうか?

4. まとめ

このように、対話を教育に導入することは社会背景と密接なつながりがあると考えられます。

それぞれの国には、それぞれの問題を抱えている。その解決策が「対話」である国もあると思います。日本の社会と教育は、今パラダイムにある。そんな、既存の問題を解決しながら新しい教育を実践していくときに、対話は日本社会を幸せにしてくれる材料になるかもしれません。

そんな材料を、実際の学校現場で導入していく方法も今回は簡単にではありますが、書かせていただきました。読者の皆さんが活動していらっしゃる場の状況に応じて実践してみてはいかがでしょうか?

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