「違う意見」を見分ける習慣を身につける
皆さんは、何か人と議論をする時など、「やたら自分の意見に反対してくるなぁ」と感じたりすることはありますか?
もしくは、「否定したつもりではないんだけど、相手を怒らせてしまった…」など。
互いに「自分の意見」を言い合う場面では、「異論と批判」の違いを踏まえながら話し合いをしなければ、
相手を誤解させたらり、言葉の本意を読み取れなかったりします。
異論と批判の違い
簡単な例をご紹介します。
鳥にはそんなに詳しくないAとBが上空の鳥を見て、
A:あれは、かもめだろうな。
B:足が黄色いからウミネコだと思うよ。
一方批判・批評は、
A:あれはかもめだろうな。
B:カモメはこんな時期に飛んだりしないよ
異論(反論)とは、話のテーマ(対象物)に対して、「根拠」を示した上で、相手とは異なる意見を言うことです。
批判は、「相手の意見に対して、良いところや悪いところを指摘し、評価すること」です。
お互い専門家でもないので、はっきりした答えはわかりませんが、
「異論」では、「足が黄色い」と言う事実に基づいて発言をしています。
一方、批判では、相手の意見に対しての意見になって、明確な根拠が必ずしもあるわけではありません。
相手の意見の正否に限らず、異論と批判の違いを認識しながら話さなければ、
話し合いは先に進んで行かなくなってしまいます。
批判し合う集団では成長しない
スポーツのチームメイトや、会社のチームなどの中で、互いの意見を批判・批評ばかりをする集団に入っていて気持ちいい人はいないはずです。
いたとしても、批判する人だけが、爽快感を感じているかもしれませんね。
話し合いに参加する全員が、「異論」と「批評」の違いを認識しておくだけで、話し合いの「深み」のようなものが違ってきます。
そもそも相手の意見に対して、「それは違う!」と言うのは、「自分の感覚が正しい」と伝えてる様なものです。
相手の感じたことがたとえ間違っていたとしても、最初から批判していては、争いになるだけです。
相手の価値観や今までの経験、見てきたものは自分とは全く異なるのですから、
相手の間違いを指摘するだけでは、対話の足かせとなってしまします。
お互いを意見の良し悪しを評価し合うより、
様々な異論を受け入れるチームの方が、より新しい発見をできるのではないでしょうか。
対話型鑑賞では、異論反論が飛び交う場所
お伝えしたいのは、「異論反論は、批判ではない」と言うことです。
人によっては、「否定された!」と思うこともあるのですが、
対話は、みんなの見ているものをいろんな角度から集める様な作業です。
そうすることで、相手の視点から物事を見れる様にもなり、多角的な視野を持って考えることができます。
対話型鑑賞では、ナビゲーターが「どこからそう思うの?」と問いかけることで、絵の中で事実(根拠)に基づいた発言ができるようになります。
参加者A:タコに見える!
ナビゲーター:どこからそう思うの?
参加者A:赤いし、足がたくさんあるから!
ナビゲーター:ここから他の意見はありますか?
参加者B:イカじゃないかな?
ナビゲーター:どこからそう思うの?
参加者B:足が10本ある様に見えるし、頭がとんがってるから!
この様に、ナビゲーターは、参加者がある発言をした時、必ず絵の中の根拠となった部分を問いかけます。
異なる意見が飛び交うことで、参加者の中でたくさんの発見をお互いに共有することができるのです。
正否は分からなくても、「赤い。足の様なものが10本。頭がとんがっている。」と言う事実を全員で共有することができています。
発言する人も、聞いている人も、視点を共有しあえているのです。
ナビゲーターや参加者は決して批評しませんし、結論も出そうともしません。
異論反論を通して、自分だけでは気づかない視点から多くの発見をすることが大切です。
話し合いがうまくいかない時、対話型鑑賞をやるように、まずは異論と批評の違いにについて、みんなで共有すると、
より実りのある対話を行えるのではないでしょうか。
どうも、ありがとうございました。