新しい教育方法「対話型鑑賞」

「対話型鑑賞」とは

対話型鑑賞とは、1980年代半ばにアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された美術の鑑賞法で、一つの視覚教材をみんなで囲み「みる考える話す聴く」を繰り返すことで、論理的思考コミュニケーション能力を自然に身につける方法です。
専門的な『知識や情報』を持って作品をみるのではなく、自分の眼でみて感じたことや発見した事を、対話形式で交換していきます。

自分の感じたことを言葉で説明する力」「他人の意見を深く理解し受けとめる力」が養われ、深い観察眼だけではなく、論理的思考説明能力コミュニケーション能力をごく自然に身につけることができると、こどもの教育だけでなくビジネスの世界でも注目されています。

ナビゲーターの「3つの問いかけ」

対話型鑑賞はナビゲーターによる問いをきっかけに、広がっていきます。

  • 「絵の中から発見したことや、感じたことはありますか?」
  • 「絵のどこからそう思いましたか?」
  • 「そこから思うことはありますか?」

実際に行った対話型鑑賞の一部を御覧いただきましょう。

対話型鑑賞を見てみる ▶

このように、鑑賞者はなにも制限されることなく、のびのび発表していきます。
適切に投げかけられたナビゲーターからの質問に答えることで「感覚を言語化」し、
「論理的な思考」を深めていくことになります。

さらに、それを自分の言葉で説明することが他の鑑賞者の感性を刺激することになりますし
他者の「意見」だけでなく、そこに至った「根拠(考え方や背景など)」を知ることで
他者への理解を深めるプロセスや姿勢が身につきます。

従来型授業との違い

一般的な授業スタイルでは、問題に対する唯一の正解、またはそれを導き出す方法を覚えることに重点が置かれその習熟度が点数となって評価が行われます。
一方 対話型鑑賞では、見る人それぞれの感覚を重視し意見を交換するなかで、他者の考えを深く理解し受け止めることで、正解が一つではない問いに対する様々な意見にふれることが出来ます。
対話型鑑賞では、それらすべてが「根拠を持った正しい意見」であり、物事を多角的に捉えることが可能になります。

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“今”だからこそ対話型鑑賞

日常生活は正解のない判断の連続

私たちが生活する日常では、意識・無意識に関わらず大小様々な判断が繰り返されています。

・健康に悪いと言われていたテレビゲームが職業になる時代です
・こどもが見知らぬ大人とゲームでつながる時代です
・何気なく発した言葉がまたたく間に全世界に広まる時代です

「〇〇が良い!」「△△はダメ!」と言い切れない場面も多いでしょう。
置かれた状況、環境、文化・・・その他さまざまな要素をもとにした、
総合的な判断が必要なのです。もちろんその判断には“根拠”が伴っていなければなりません。
それぞれの「正しい」をより正確に・深く理解すると同時に
理解してもらう「相互理解」のチカラを鍛えるのが「対話型鑑賞」なのです。

2020年の学習指導要領

2020年度、約10年ぶりに学習指導要領が変更されます。
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「自ら課題を見つけ」「自ら学び」「自ら考え」
「判断して行動」し「それぞれに思い描く幸せを実現」してほしい

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という想いから、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の
3つ視点からの授業改善が重要視されています。

対話と会話、議論の違い

共通の話題に対して、互いに話したり聞いたりし安心感を育むこと。またその行為自体。
「なぜそう思うのか」という
考えや背景も理解しようとする
相互理解のためのコミュニケーション。
ひとつつの結論を出すために、互いの
意見・主張をぶつけ合うこと

対話型鑑賞がもたらす8つの効果

対話型鑑賞では、自ら発見し、問いを見つけ、自らの考えや思いを伝えると同時に
相手の考えや思いを受け止めることを繰り返すために、コミュニケーションに重要な8つの力が養われます。

観 察・・・ 「単純な観察」から「より多くの詳細かつ緻密な観察」への変化

推 論・・・観察から、何らかの解釈を導けるようになる

根 拠・・・観察に基づいて、自らの推論を裏付けることができるようになる

・・・複数の可能性を検討できるようになる

推 敲・・・すでに言及した事柄に立ち戻り、さらなる詳細を付け加えていける

再 考・・・必要に応じて自分の意見に訂正を加えることができるようになる

説 明・・・自分の感覚を言葉にして説明できるようになる

理 解・・・他者の言葉を意識を持って聴き、考えや思いを汲み取ろうとするようになる

みんなで楽しめる対話型鑑賞

前述の通り対話型鑑賞で培われるのは“学ぶチカラ”“学ぶ意欲”そのものであり、
“正解が一つではない問いに向き合うチカラ”や“異なる意見に耳を傾ける姿勢”が芽生え定着していきます。
そのため年齢や性別、職業に関わらず全ての方に楽しんでいただけます。