子供のコミュニケーションスキルが自然と高まる 〜対話型アート鑑賞のすすめ〜
コミュニケーション能力が人生の質を左右する
「一生を通し、私達を幸福で健康にするものは何でしょう?」
心理学者ロバート・ウォールディンガーは75年間にも渡り、
724人の男性を対象に仕事や家庭生活、健康などを記録することで、
私たちを健康で幸福にしてくれるのは、富や名声ではなく良い人間関係の有無で左右されるということを発見しました。
このことからもわかる様に、幼少期からコミュニケーション能力を育ててあげることは
幸福感を感じる大人になるためにもとても重要なことです。
これほどまで重要な能力を、日本の学校(もしかすると世界中の学校)では、教えてくれないものです。
その結果、コミュニケーション能力の殆どが、家庭環境によって左右されると言っても過言ではありません。
コミュニケーションは技術です。
訓練すれば、誰でも習得することができるはずです。
今回は、人間関係を良好にするために大切な「対話の技術」と、
そんな対話力を、自然と楽しみながら育てることができる対話型アート鑑賞法についてご紹介していきます。
良好な人間関係を作る「対話」の技術
皆さんは、「対話」という言葉を聞くとどんなものを思い浮かべるますか?
人によってイメージするものは違うと思いますが、
対話は議論や会話とは目的が異なりますので、区別する必要があります。
対話とは『自分とは違う考えや価値観を持った人が互いに理解し合うためことを目的としたコミュニケーション』です。
毎日一緒にいる家族や気の合う友人同士でも、考え方や価値観は違ってきます。
小さな例えですが、一緒にケーキを作ろうとしたとして、「見た目」を優先する人もいたり、「値段」を気にする人もいます。
「味」を優先にしたい人もいるし、「効率」を最優先したい人もいるでしょう。
どれだけ身近にいる人でも、その人が大切にしているポイントは異なり、しかも年齢や環境共にそれは変化していくものです。
その違いをお互いに理解し合えないまま、
仲違いをしてしまったり、修復不可能な関係にまで陥ることも少なくありません。
対話とは「自分とは異なる意見」を前提に、その差異を理解し合うための技術です。
「対話」の技術を身につけた子供になると
普段人と喋っていて、「自分は今対話をしているな」と考えることはありませんが、
「今は相手と自分の考えが異なっているな」と感じる場面は多々あるはずです。
最終的に一つの決断をしなくてはいけなくても、まずは相手との対話を心がける姿勢を持つ様になれば、
人間関係が悪化することはないはずです。
「対話する癖」を身につけると、常に相手の考え方や価値観を理解しながら話しをする大人へと成長します。
- 相手の話を最後まで聞くことができる
- 相手の気持ちに共感できる様になる
- 自分の意見もしっかり発言できる
- 相手の立場に立って、わかりやすい様に伝えることができる
対話の技術は、グローバル化が進み多様な価値観を持つ時代を生きていく上で、とても重要なスキルになるはずです。
コミュニケーション能力を高める対話型鑑賞法
対話型鑑賞は、対話の技術を使いながら、一つのアート作品をみんなでみる鑑賞法です。
1980年代半ばにニューヨーク近代美術館(MoMA)のフィリップ・ヤノウィン氏によって開発されました。
ナビゲーターの問いかけを中心に、自分の見たこと感じたことを発言するだけではなく、自分とは異なる意見を注意深く聞くことで、
一つの美術作品の面白さをみんなで共有し合うことができます。
「みる・考える・話す・聴く」を繰り返し行うことで、
相手の話を注意深く聴く力や、自分の意見を相手に伝わる様に、話す力が自然と身につくのです。
アート作品は、人によって感じ方や、観方も異なるため、コミュニケーションスキルを身につけるには、最適な教材となります。
さらにアート作品には一つの決まった答えがありません。どう感じるかは、その人次第なのです。
そのため対話型鑑賞では、自分とは違った様々な意見が飛び交います。
対話型鑑賞に参加すると、様々な世代の人や職業の人と触れ合うことができるので、それだけでもコミュニケーション能力は自然と育てられていくはずです。
→対話型鑑賞を体験してみる!
大人が「対話」する環境を作り、子供と一緒に学ぶことが大切
コミュニケーションにはキャッチボールと同じ様に、相手が必要です。
一人ではその能力を伸ばすことはできません。
健康で幸福感な大人に成長してもらうためにも、
ぜひ親子で参加して、子供との対話を楽しんでもらえればと思います。
どうも、ありがとうございました!
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